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市機能用地、エネルギー供給基地が位置づけられている
現在、フェリーバース(-4.5m)、岸壁(-4.5m)2バースが供用され、さらに、水深の深い岸壁(-5.5m、-7.5m)の供用に向け整備を進めている(図−2)。

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図−2 熊本港フェリーパース暫定供用時(平成4年)

Fig-2. Kumamoto Ponat thc business opening of the ferry berth(fiscal 1992)

2−2. 自然条件
有明海は内湾域で対岸距離も短く(最大SW方向45km)、外海からのうねりの進入の影響が少ない、波浪条件は非常に恵まれた海域である。しかし、潮位差が約4.5mあるわが国でも有数の大潮位差海域であり、海底下には40mにもおよぶ有明粘土と呼ばれる軟弱土層が存在している。さらに熊本港は、全国一の規模を誇る有明海の干潟の中心に位置しており、海岸線より約1,000m沖の地盤高が±0mと非常に緩やかな勾配となっている。熊本港周辺海域は、このように特異な自然条件にあるため、独自の新技術、新工法の開発・実用化が必要不可欠であった。
3. 軟弱地盤着底式防波場
熊本港のような軟弱な地盤に、従来形式の重力式防波堤を建設するには地盤改良が必要なため、膨大な建設費と工期の長期化は避けられない。さらに土捨場の確保、環境対策への慎重な対応も必要となってくる。そこで、地盤改良を必要としない、軟弱地盤に直接設置する新しい構造の防波堤、軟弱地盤着底式防波堤(以下「軟着堤」という)を開発し、実用化に成功した。
3−1.軟着堤の基本原理
軟着堤の基本原理を図−3に示す。軟着堤は水平波力に対し、堤体底版と粘性土層との付着力および底版から打設された短杭による横抵抗によって安定性を確保する、このため堤体の重量を大幅に軽減でき、軟弱地盤においても地盤改良を必要としない経済的な構造となっている。
軟着堤の各課題の解明に向け、昭和58年度より調査を開始し、波浪の作用に対しては水理模型実験を、構造体の安定性および地盤特性については遠心載荷実験と静的・動的な室内実験を実施した。さらに、昭和60〜63年度までの現地実証試験により実用性を確認した。

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図−3 軟着堤の基本原理

Fig-3. Basic principle of the soft ground dike

3−2. 調査・検討結果
(1)水理特性
軟着堤に作用する波圧分布、越波・伝達波特性などを把握するため、水理模型実験による逆下型の基本的特性の確認の後、逆π型の消波・透過堤の実験を行った。
逆下型軟着堤の場合は一般的に設計に用いられる合田式に近い波圧分布を示し、逆π型の透過型軟着堤の場合は、合田式に対して遊水室幅、前後壁の開口率、開口部の形状および天端高の関数として波圧低減率を考慮すれば水平波圧分布を表現できることが分かった。図−4に押波時の波力の考え方を示す。

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図−4 波力の考え方(押し波時)

Fig-4. Approach to the understanding of design waveforce at the peak Phase of horizontal wave force

(2)地盤の支持力
粘性上地盤の支持力評価のために遠心載荷試験および現地載荷試験を実施した。これらの結果と各支持力式の比較を図−5に示す。熊本港周辺海域のように正規圧密に近い地盤の支持力評価には、Vaughan他の式の適用性

 

 

 

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